施策概要
本ツアーは、東京カメラ部と福島県葛尾村が、村の新たな観光資源の創出やブランディング、関係人口増加を目指す年間事業「令和8年度葛尾村魅力向上・発信事業」の一企画として実施したものです。
村全体を紅く染める花畑「クリムゾンクローバー」の絶景を観光資源として磨き上げ、葛尾村のシンボルとして認知を広げることを目的に開催し、当日は東京カメラ部が招聘したフォトグラファーと、公募で集まった15名の参加者が集まりました。
参加者らの発信により、Instagram上に「葛尾×赤い花畑」の写真が拡散したほか、地元の拠点施設には通常の7~8倍の花畑観光客が訪れるなどの成果につながりました。
東京カメラ部撮影
企画の背景・きっかけ
企画前年の2025年に、東京カメラ部社員が別件で葛尾村の案件に携わった際クリムゾンクローバー畑を目にしたことをきっかけに、そのポテンシャルの高さと独特な成り立ちに注目。地元の一部の人には景勝地として認識されていたものの、村民でも興味を示さない人が多いため外部に向けて発信されていなかったこの花畑。燃えるような鮮やかな紅と圧倒的なスケール感を、葛尾村をより多くの人に知ってもらう起爆剤として活用することを、関係者間の協議の結果決定しました。
花畑の成り立ち:
大地を癒し回復させる花
クリムゾンクローバー畑は、放射能除染のため表土が削られた農地の土壌回復(緑肥)として村民が種を蒔いたことから始まりました。
毎年種を蒔き、花が咲き、そのたびに肥沃な土へと回復していくこの畑は、村と復興のあゆみを共にしてきたシンボルと言えます。
美しいだけでなく唯一無二のエピソードを持つこの花畑は、葛尾村が誇る「まだ世の中に知られていない絶景」です。
東京カメラ部10選 柄木孝志さん撮影
狙い・目指したもの
葛尾村は、認知度の低さ(村名の漢字が読めない方も少なくありません)と、公共交通機関のアクセスの悪さから、観光の候補地として名前が挙がりにくいという課題を抱えていました。そこで、「SNS映え」する告知写真を通じて赤色の迫力とスケール感を最大限に押し出し、見た人の興味を一気に引きつけ、「撮ってみたい」「行ってみたい」と直観的に思わせることを意識しデザインを工夫しました。
そのために、花畑の真ん中に本物のピアノやソファ、オリジナルブランコを置くなどの斬新なフォトスポット作りや、スケール感が伝わるモデルを配置した撮影を行い、告知に活用しました。
東京カメラ部10選 Koichiさん撮影
最も大事にしたこと
葛尾村は、被災地でありながら世間的には認知度が低いというギャップや、原発事故により約1,500人が全村避難し、15年が経過した現在も村の居住者は約400人程度という現実があります。こうした難しさがある村だからこそ、この企画で大切にしたのは、村外への認知拡大と集客だけではありません。村の人たちに改めて地元を好きになってもらうこと、村を誇りに思ってもらうことです。
詳細な聞き取りを行い、慎重に協議を重ねながら、「地元の人ごと元気にできるコンテンツ」となることを何よりも重視しました。
震災復興というテーマに関しても議論を重ね、「復活に向けた力強い取り組みと、それを象徴する場所」というポジティブな意味づけにこだわりました。
ツアー・施策の詳細
・開催日:2026年5月23日(土)・24日(日)※1泊2日
・参加者:招聘カメラマン含め15名
・フォトスポット:村内3か所の畑に設置
ツアー概要はこちら
https://fb.minpos.com/campaign/entry/top.php?code=katsuraomura2605_form
フォトツアーは1泊2日で構成し、クリムゾンクローバー畑や史跡を巡るコースとしました。ツアーにはモデルを起用し、畑のスケール感が伝わる写真撮影を堪能できる構成に。
夜は星空の下、LEDキャンドルライトでライトアップされたフォトスポットでの特別な撮影企画も用意し、宿泊滞在しているからこそ見れる、昼とはまた異なる表情を楽しめるようにしました。
イベントのスケジュール
【1日目】
13時00分~13時20分:オリエンテーション(せせらぎ荘会議室)
13時30分~15時30分:クリムゾンクローバー(複数箇所)
15時45分~16時45分:大尽屋敷跡
17時00分~18時00分:夕食(せせらぎ荘)
【公共交通機関でお越しの方】
郡山駅まで送迎します。郡山駅西口19時30分着予定。
【お車でお越しの方、村内宿泊者で深夜撮影もご参加する方(任意参加)】
・一旦解散
・クリムゾンクローバー×星空撮影の詳細は当日案内
・終了は午前2時頃予定
【2日目】
【公共交通機関でお越しの方】
・郡山駅西口:7時45分
【お車でお越しの方】
・せせらぎ荘駐車場:8時50分
9時10分~10時45分:クリムゾンクローバー(複数箇所)
11時00分~11時45分:風力発電展望台
12時00分~13時00分:昼食(せせらぎ荘)
その後、解散
東京カメラ部10選 Koichiさん撮影
オリエンテーション
ツアー参加者には、本企画を通じて葛尾村についての理解も深めてもらいたいという思いからツアー開始時に、花畑の成り立ちや、村に関する情報を共有しました。
また本ツアー発足の経緯や一連の事業の目的を伝えるとともに、来年以降もさらに人が訪れる場所となるよう参加者からの情報発信が大事になることや期待感についても触れました。
フォトスポット
花畑をデザインするにあたって大きな力になったのが、広島県世羅町にあり写真映えの名所として名高い、花の観光農園「花の駅せら」です。
花畑にさらに「惹き」をつくるアイデアとして、ピアノとソファ、ブランコを設置するという提案をいただき、どちらも広島からこのイベント用に制作した1点物を遠路はるばる運んでいただきました。ピアノはこの日のために、赤色に映えるよう、黒から白へ塗り直していただくという徹底ぶりです。
東京カメラ部10選 柄木孝志さん撮影
ツアーの様子
東京カメラ部撮影
事前告知
ツアー開催直前の平日には、東京カメラ部と繋がりがあり、SNSで多くのファンがいらっしゃるフォトグラファー、東京カメラ部10選のKoichiさん(@hakuchuu1882)と東京カメラ部コンテスト入賞者の春木 悦代さん(@etsuyo623)をお招きし、花畑の撮影を依頼、各自のSNSで告知をしていただきました。フォトスポットとモデルを最大限活用し、花畑をメルヘンチックに切り取っていただきました。
KoichiさんのInstagramアカウント
( @hakuchuu1882 )
https://www.instagram.com/hakuchuu1882/
春木 悦代さん告知例
( 投稿はこちら )
春木悦代さんのInstagramアカウント
( @etsuyo623 )
https://www.instagram.com/etsuyo623/
東京カメラ部告知例
( 投稿はこちら )
東京カメラ部SNSでも開催を告知。大胆に切り取られた赤い花畑の視覚効果と、「プロがスポットをデザイン」「特別なナイトプログラム」といった文言で、写真好きの興味を引く工夫をしました。
結果
土日の2日間で、村の拠点施設「葛尾村復興交流館あぜりあ」に約900名が来訪。
期間中にフォトスポットの畑3カ所を巡り写真を撮った方にクリムゾンクローバーの種をプレゼントする企画を実施したこともあり、多くの方が種を受け取りに訪れ、買い物もお楽しみいただきました。通常の土日の来訪者数(2日間で約120名)と比較して、約7~8倍という人数を記録し施設のスタッフも驚いていました。
招聘したフォトグラファーには開催当日中のSNS発信にもご協力いただき、熱量の高い投稿によってInstagram上に「葛尾村」のUGCが一斉に拡散。
SNSを見た方が「次の日にすぐ現地を訪れる」といった波及効果も生じました。
まだ多くの人に知られていなかった村の「隠れた絶景」が、本施策を通じて一気に認知拡大へと繋がった結果が表れたと言えます。
ゆくゆくは、「葛尾(かつらお)」という地名と「真っ赤な花畑」が多くの人の頭の中で結びつく状態をつくることを、理想のゴールと考えています。
Instagramの「#葛尾村」検索画面
エピソードに見る成果
畑の所有者である70代後半の男性が来訪者との会話を通じて久しぶりに元気を取り戻したと、ご家族から大変感謝された、「あぜりあ」の職員からは、朝から夜まで忙しく休憩する暇もなかったという声があがった、広島からわざわざ車を走らせてこのために来たという参加者もいた、など、嬉しいエピソードが生まれました。
まとめ:この企画のポイント
この企画が多くの人を動かした背景には、いくつかの工夫があります。
- 村全体が紅く染まる、迫力のあるビジュアルスケールを、インパクトのある写真でしっかりと伝えたこと
- PRに協力いただく方々、ツアーに参加いただく方一人ひとりに、企画のストーリーをしっかりと伝え、そのストーリーをセットにした情報を発信していただいたこと
- 自治体職員の協力のもと、村内各所へポスターを設置し、「村を挙げて」取り組んでいる空気を作り出したこと
- 関係者全員が企画の意義を深く理解していたことで、協力者・参加者にもその熱量がしっかりと伝わったこと
- 企画に賛同しフォトスポット設置を許可してくださった村の方がいたこと
制作したフェスティバルの告知ポスター
「地元との共存」にこだわる
本企画と同様、東京カメラ部では、その土地の人々の幸福度や、地元に受け入れられるコンテンツをつくることを大切にしています。その背景には、地域創生に携わる東京カメラ部メンバーに、施策で得られた効果を一過性で終わらせず、地元に資産として残すことの難しさを実感した経験があるためです。
このジレンマがあるからこそ、単発の集客イベントではなく(時にはそれも重要です)、中長期的に地元とともに育てていく取り組みにすることを方針として掲げています。
備考
絶景が待っている!クリムゾンクローバーを見に行こう
【公式】葛尾村の観光/旅行サイト「かつらお村観光サイト」
https://katsurao-village.com/feature/crimson-clover
葛尾村復興交流館あぜりあ
https://katsurao-azalea.jp/
自然と人を結ぶ丘【花の駅せら】
https://serayurien.com/
東京カメラ部では、地域の魅力を引き出すサポートを行っています。写真を通じた地域活性化のご相談はぜひお問い合わせください。







